【テラバトル】RPGのボキャブラリー
一つのメカニクスでどれだけ遊びやシーンを作れるかというのはよく考えることで、テラバトルは非常に勉強になりました。
今回はFFを彷彿させるギミック満載のボスバトルの要素を見ていきたいと思います。
ギミックやスキルを使ったボス演出
個人的な意見としては、ボスにはステータスの大小だけではない個性が欲しいと思っています。
こういった個性のあるボス演出は主にFFで培われてきたのではないでしょうか。
いまとなってはFFといえば超美麗なCGによる映像が突出していますが、
昔ドット絵の情報量が少ない中でボスと戦っている状況をいかに表現するかというのは苦労したんだろうと思います。
怪我の功名なのか、はたまた坂口さんが狙ってできたものかはわかりませんが、
ゲームとしてしか体験できない演出がたくさん出現し、それがテラバトルには受け継がれています。
メカニクスとしてはRPGと少し遠いように見えますが、演出を細かに追うとRPGのボキャブラリーが詰め込まれていて
類似点の発見、違うゲームに他のゲームの要素を自然に埋め込んでいくのかがよくわかります。
さて、テラバトルには大まかに以下のような演出やギミックが用意されていました。
遊び方に直接かかわるものもあれば、物語や世界観をプレイ内で語るという手法もあり、
倒し方を思案する、戦場の実景を想像させる、次の物語進行を促進する、とゲームに深みが出されています。
予告系
- 予告後の範囲攻撃
- 現在地に予告後の攻撃
- 向きの予告後そちらにむかって攻撃
- ボスの移動方向に行かないとダメージ
- 爆弾を呼び出す
- 溜め予告からの全体攻撃
予告攻撃は他のRPGでもよく使われていますが、アクション重視のRPGでない限り事前の回復しか選択肢が生まれません。
その点、テラバトルはコマを動かす自身のスキルが問われるので、今回はうまく作動していますね。
全体攻撃においても、いかに事前に連携に巻き込むかといったプレイヤースキルが試されます。
赤いマスが出るパターンと、通常通り敵の上下左右から逃げなくてはいけないパターン、
どう見ても近づかないほうがいいだろう爆弾が出てくるパータン、敵の移動方向についていかないといけないパターンがありますが、
視認性の有る無しでそこからどう抜け出るのか、または予想して逃げるのかでは使う頭が違うので面白いです。
弱点系
- 弱点属性で攻撃を仕掛けると次のターン動けない
- バリアチェンジ
- 属性吸収
強攻撃を防いでそれでいて1ターン稼ぐことが出来るのは緊張感溢れる状況が一転してチャンスになるという興奮するシーンですね。
この属性に弱い、だけではなく、こういった逆転の瞬間が作られると、テンポが変わって面白くなると思います。
また、バリアチェンジもテンポに関連していて、弱点を持っているときは「今だ!!」となるし、
そうでないときは「撤退!!」と行動にメリハリがでます。
属性吸収は別属性が2体以上いるときに効果を発揮します。つまり、範囲攻撃(魔法攻撃)したいけれど一方は回復してしまう。
そんなときに敵同士が離れたら...考えただけでもニヤリとしてしまいますね。
緊張感醸成系
- 時間を巻き戻して回復する
- ダメージパネルで徐々に全体を覆う
- 本体と分身が出てきて本体の位置を見失わないように戦う
- パワーポイントを吸収
- 強制的にHPを1にする
時間を巻き戻すとパネルが徐々に全体を覆うというのは時間制限と言う意味では同じですが、時計とダメージとでは緊張感が違います。
ボンバーマンのサドンデスを思い出しますね。
また、「分身の出現」は神経衰弱的な面白さを付与していたり、どちらが先にポイントを手に入れられるか追いかけっこする「ポイント吸収」、
一気に避けゲーへと変化する「HP減少」と、遊び方が変わり、飽きさせない工夫がされています。
移動阻害系
- 転送装置
- 大量のダメージパネル
- 操作時間減らす
ここに行かなければいけない、ここに行ってはいけない、移動の制限を考えるとほとんど同じことを言っていますが、シーンとしては劇的に変わるので面白いです。
操作時間に関しては、普段ダメージがでかくなるように考えて行動するのがほとんどだと思いますが、時間が減少することによりいかに攻撃を成立させるかと、優先順位が変化します。
演出系
- ボスが途中で逃げる
- 最初と最後に出現
- 敵の一時味方化
- 最初寝てる
ギルガメッシュやオルトロスを思い出します。こういう物語性を持つ演出は没入感を引き立てるので大好きです。
さすがに、ユーザーが離れる可能性がある強制全滅はなかったですね。
個人的には最初に寝てるトカゲのリーダーの余裕感にいいなぁと。
序盤のボスらしく小物っぽさも出ていますね。トラはウサギをかるのにも本気を出すのです。
特殊攻撃系
- 味方を異次元に飛ばす
- 同じ列に揃ったときの合体攻撃
- 浮遊を持つとよけられる全体攻撃
- ●●に攻撃すると■■が反撃、■■に攻撃すると▲▲が反撃
ドラクエ6でバシルーラ食らったときの絶望感。
今回は数ターンで戻ってきますが、いきなり4体で戦わなければならないというあまりない状況に追い込まれる驚きはよいです。
合体攻撃はあいつら仲いいんだろうなぁと想像したり、反撃を予測して順番を考慮して撃破することでチームが瓦解していく快感が現れててテンション上がります。
その他
- 本体と部分(大きな敵の頭と手など)
- マップから1ターン消える
- 仲間を呼ぶ
- 2体で出現し、残った1体が死んだ方を蘇生。同時撃破しないといけない
- ボス自体は雑魚同様だが周りをパワーアップさせる
- ラスボス第2形態
本体と部分というのはもうモンハンでもおなじみですが、新しい見せ方をしてくれたなと思います。
本体と部分がくっついているのはサモンナイトのボスなどでも見ていましたが、こうやって分離して動いていても、
巨大なものと戦っているんだという感覚を生み出していますね。
他にも仲間を呼ぶや、ラスボスの連戦など、RPGでおなじみの演出方法がとられていました。
スマホのRPGが増えてきた昨今、ここまで演出がしっかりしたRPGはみたことがありませんでした。
確かに弱点属性を突く、アイテムでの回復をしっかりする、HPを削られながらもかっこいい必殺技で応戦などなど、スマホのRPGも原始RPGの面白さと現代の高レベルクリエイティブは表現されており、ライトゲーマーにも受けるように、さらに運営の手もかからないコストパフォーマンスのよいゲームだと思います。
そしてテラバトルのような敵の特殊な思考ルーチンが必要になるレベルデザインは恐らくあんまり現代向きではないだろうなとも思います。
ただ、完全にエゴであることは承知の上で、ゲームデザイナーが本気で多種多様な遊び方を提供していることが評価されたらいいなと。ゲームプレイ内の演出により体験が加速されるゲームが増えたらいいなと。
そんなことを思いながらテラバトルの考察は一旦終わります。
ではこんなところでー